【映画】太陽 THE SUN

先日、シネコンに行ったので忘れぬうちに。
太陽/アレクサンドル・ソクーロフ
ロシア人監督アレクサンドロ・ソクーロフが描く昭和天皇の実像。

戦争末期、そして終戦直後、
今まで日本人があまり描いてこなかった苦悩する人間裕仁像に迫っている。

皇居内の防空壕を暗く淡いトーンの映像で表現。
当時の世情と緊迫感を偲ばせる。

暗さの中に独特の美しささえ感じられる。

イッセー緒方が演じる昭和天皇も、
よく演じたものだと思う。
一つの禁忌承知の演技は賞賛出来る。

昭和天皇は非常に教養人であると同時にモダニストであった。
彼は己の立場を弁えて政治にはほとんど口出しをしてこなかった。

国家の行く末を左右するであろう大権を
ただ二度だけ発動した事があった。
2.26事件の収拾とポツダム宣言の受諾。

映画はポツダム宣言受託の御前会議や
玉音放送の録音について触れられていない。
いきなりGHQ占領下へと舞台が移る。
戦中の昭和天皇を描く上で、
もっとも象徴的な出来事を
いとも簡単にスキップしてしまったのは問題だろう。

福田和也の週刊新潮の連載に寄れば、
史実と大きく異なることも指摘されている。
例えば天皇はマッカーサーの居るGHQ本部に、
米兵に連行された様に描かれているが、
実際は自ずから出向いたのだとか。

歴史(特に近現代史)をモチーフとするなら、
史実に忠実にあるべきと思うのだが、
そういった考証の緩さというのは
物語を薄めてしまい非常に残念なところ。
ただの映像作品に堕してしまう。

yuji at 2006 10/04 11:47:21

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Comment

タナカチエコ at 2006 10/05 03:23:12
私も観たけど かなりビミョーだと思った。 私レベルの知識でも史実と異なる点は多々見受けられたし こんなのが世界的評価に値すんのか疑問だね
yuji at 2006 10/06 02:07:29
そうねぇ。まぁしょうがないでしょう、考証の甘さなんかはロシア人だしね。

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