昨日、ハッセルブラッドで撮影中、巻き上げが不十分なままレンズ付け替えたせいで、広角レンズのシャッターが閉じたままになった。辛うじてレンズがボディから外れなくなるようなことにはならなかったのは幸いだった。先人達から聞いていた通り、レンズのシャッターの巻き上げ部分をコインで直に回してみたけれど、なぜかぴくりともしないので、無理せずにほっといた。
ハッセルブラッドというスウェーデンカメラの修理・販売は、シュリロという正規輸入代理店が行っていて、さしづめ、舶来カメラを扱うヤナセの様な会社である。修理費は他のカメラメーカーに比べると非常に高価な上、並行輸入品に対しては、さらに倍の修理費が掛かる。
ちょっと暗澹としていたけれど、今日、ウェブを見ていたら、シュリロからも修理代理店として認定されている堅気な修理職人さんが銀座にいると知り、昼頃に伺う。マンションの一室に構えた工房を軽くノックをして中をのぞくと、見事な白髪の老紳士が一人でマガジンを修理しているところだった。
事情を説明すると、昨日からシャッターが閉じたままのレンズをなれた手つきで、ものの数秒のうちに元通りにしてくれた。50年以上歴史のあるカメラシステムには、同じ型式のものであっても微妙に設計が異なっている様で、僕の持ち込んだレンズは初期ロットのもので、シャッターの動作には少し工夫が要ったようだ。
その場で一通りカメラに目を通してくれた。
"開放は使う?"と問われる。どうも問題が有ったのはレンズよりボディの方でピントが出ていないということが分かった。モルトが経たってミラーが有るべき場所よりほんのわずかに隙があるためだという。確かにわずかな隙間がある。専用の計器に掛けるとやはりピントが来ていない。
わずかな問題も見逃さないことに感心しながら、修理の納期を伺うと、逆にいつがいいのか問われた。そりゃ早いに越したことはないけれど、いつ頃と応えたら良いのか窮してしまい、もう一度、標準的な納期を伺う。"通常、一週間から十日、プロの方は明日までとかっておっしゃる。"プロの心構えを教えられたようだ。カメラマンの態度は横柄と言えばそれまでだけれど、これに応え、たくさんのカメラを一晩のうちに直してきたのだろう。きっとプロというのはそういうもの。とはいえ明日とでも言えば良かったのだろうか、、、言えないよな。
さて見積もりを伺い、シュリロと比較しても納得出来たので直すことを決め、明日撮影があるので改めて来ますと伝えてひとまずカメラを持ち帰る。相談に乗って頂いた上に今日の分は請求されることもなく全く清々しい応対であった。