古い建物が好き。港湾が好き。
海岸が好き。ダムが好き。
給水塔が好き。
ガスタンクが好き。
まっすぐ続く道が好き。
大空でもなく、海中でもなく、山でも外国でもない。
身近にある地味な景色の中に強烈な魅力を感じる。懐かしさと儚さ。
なぜだろうか。
僕が生まれ住み続けている王子の街は、かつての製紙と軍需工場が居並んでいた工業街としての残り香が薫る。街の雰囲気はあまり浮いたところもなければ、明るさもないが、けして嫌いではない。駅前には闇市の名残としてバラックの飲食店街も未だ変わらずある。
王子の街が僕の趣向に与えた影響というのは少なからぬものがあったと思えて仕方がない。